元々格安SIMは高額なキャリア回線の対抗として始まりましたが、近年ではキャリア自身がサブブランド回線としても参入し、他社格安SIMと激戦を繰り広げています。
その中でも人気なのがドコモのahamo。
今回、ahamo回線をじっくり試してみて思うところがあり、特に低速モードにマイネオとの大きな差を感じたため、実験をして比較結果を残してみました。
ahamoとマイネオのスペックを比較
ahamoはドコモのサブブランド回線で、高額なドコモ回線と同等の品質をリーズナブルな価格で使えるとして好評を博しています。
メインキャリアの複雑怪奇なプラン設定とは対象的なシンプルなプラン設定を武器に、3キャリアのサブブランド回線の中で一番人気で、キャリア同士のみならず格安SIMの大容量プランとも競合しています。
マイネオですと、マイピタ20GBとサービス内容がかなり被っていますね。
そこで、まず回線のスペックから比較してみましょう。
ahamo | マイピタ 20GB | |
---|---|---|
データ容量 | 20GB | 20GB |
高速通信の回線品質 | ◎ | ○ |
低速モードの上限速度 | 1Mbps | 1.5Mbps(パケット放題) |
月額料金 | 2,970円 | 2,178円(デュアルタイプ) |
基本的にahamoは高速通信の回線品質の高さ、マイピタはコスパと利便性で優位といった棲み分けでした。
マイネオは昨年の2023夏から通信品質の改善に取り組み、通話品質の5倍改善を達成しています。ahamoより高速というわけではありませんが必要十分な速度が出ています。
docomoをビールに例えるとahamoは発泡酒、そしてマイネオは第三のビールとイメージできそうです。
一方、ahamaoとマイネオの2回線は使い勝手に直結する大きな違いを有しています。それは低速モードに関する仕様です。
低速モードに着目して比較
ahamoは高速データ容量(20GB)を使い果たすと「低速通信中」となり、低速モードに入ります。
ahamoの低速モードは1Mbpsと、マイネオのパケット放題等の1.5Mbpsに比べて遅いです。
スペック上はマイネオに対して3分の2の速度しかありませんが、ahamoはドコモのサブブランドということで回線品質に定評があるため、スペック以上の使用感を期待している方もいるかと思います。
ですが、筆者が試した感覚としてはどうにも低速モードでの使用感が悪く、いわゆる「パケ詰まり」のような症状がよく現れました。
それがこの記事を書くきっかけでもありますが、次項の実験によって定量的に評価してみたいと思います。
また、ahamoは高速データ容量を残した状態で手動操作により低速モードに入ることができません。ahamoの低速モードはあくまで容量を使い切った後の制限モードという位置づけです。
さらに高速データ容量の繰越もできないため、ユーザー側の工夫で低速モードを回避する余地が少ないのです。
ですので、低速モードの品質はahamo全体の使い勝手を大きく左右します。
一方のマイネオは、ご存じの通り任意に節約モードをON/OFFして高速と低速を切り替えることができますので、必要なときのために高速データ容量を温存しておくことができます。
ネットゲームや高画質動画閲覧など、通信速度を必要とするときのためにデータ容量を温存したりすることができ、このような柔軟な運用ができる点はマイネオに軍配が上がります。
ahamoとマイネオで低速モードの速度チェック!
それでは、ahamoとマイネオで低速モードの速度を実際にチェックしてみましょう。
今回は簡易的ながら、スピードテストサイトを用いた数値上の比較と実際のダウンロードにかかる時間の比較を行います。
スピードテスト(fast.com)
まずはスピードテストサイトのfast.comを使い、ダウンロード速度とレイテンシを計測してみましょう。
マイネオは1.5Mbps使い放題ができる2回線を用意し、ahamoと合わせて次の3回線で比較します。
・ahamo(データ通信残量0)
・マイそく スタンダード(タイプA)
・マイピタ 20GB(タイプD・パケット放題)
10時〜20時の2時間おき(12時台のみ12:05・12:35の2回)に計測、各時間帯に3回ずつ計測し中央値を採用します。
また計測日は3月28日(火)なので、平日昼の混雑時を含みます。
結果は以下のとおりです。
12:05・12:35のマイそくAのレイテンシが切れていますが、測定不能(0と表示されたり1sを超えたり)です。32kbps制限で実質使用不可なのでデータなしとします。
まず注目すべきは回線速度です。
マイネオは基本的に上限である1.5Mbps付近に張り付いていますが、ahamoは1Mbpsに全く届いておらず900kbps前後をうろついています。
これはたまたまではなく、いつ測っても1Mbps付近の数値はほとんど出ませんし、各時間帯で3回ずつ計測した中での最高値も960と970kbpsが1回ずつ出たのみです。
その一方でレイテンシ(回線遅延)はahamoが非常に優秀で、速度が抑えられている理由は混雑によるものではないことが示されています。
同じドコモ回線を用いたマイピタタイプDが1.5Mbps上限一杯まで出ている以上、エリア的な問題とも考えられません。
おそらくドコモ側の設定により、1Mbpsよりかなり低めに制限をかけているのではないかと考えられます。
大容量ファイルのダウンロード
次は、実際にブラウザから大容量ファイルをダウンロードしてかかった時間を測ってみます。
マイネオの1.5Mbps回線2種に大きな違いはないようなので、ahamoとマイピタ(タイプD・パケット放題)の2回線に絞って比較します。
512MBのファイルを同時にブラウザ上でダウンロードし、ダウンロード完了までの時間を計測します。
マイネオはiPhone 13上のSafari、ahamoはXperia 10 iii Lite上のChromeと端末スペックや環境は異なりますのでその点はご了承ください。
どちらも1.5Mbps程度までの速度であれば端末スペックがボトルネックにはならないであろうと思われます。
ちなみに以下のSSでダウンロード容量が異なるように見えますが、AndroidとiPhoneの容量計算の違いによるもの(Androidは1KB=1,000B、iPhoneは1KB=1,024B計算)で、実際は同一のファイルをダウンロードしています。
まずマイネオ回線から。
ちょっとSS撮影でもたつきましたが、ダウンロード開始が14:20、完了が15:22でかかった時間は62分です。
次はahamo回線です。
ダウンロード完了は15:35でかかった時間は75分です。
単一ファイルの連続ダウンロードではスピードテストに比べてahamoが健闘しました。というよりマイピタがいまいち速度が出ていなかった印象です。
今回のahamoのダウンロード速度を計算すると0.91Mbpsになりますので、やはりahamoの低速モードは900kbps程度で安定しているという結論になりました。
使い勝手の違いは?
数字上の差はあっても実用で支障がなければ大した問題ではありません。
ですが、マイネオの1.5Mbpsとahamoの900kbps前後の使用感には大きな差があります。
まず、動画など回線速度を必要とするコンテンツを閲覧する場合、1.5Mbpsではちょうど必要十分といった感じでしたが、ahamoの低速モードで同じ動画を見るとローディングばかりで快適に観ることができません。
パケット放題やマイそく スタンダードの強みとして、例えばYouTubeの480p〜720p程度の画質をスムーズに見ることができ、あまりコンテンツの品質を落とさずに趣味も妥協なく楽しめるという点があります。
リーズナブルながら動画閲覧もビデオ通話もZoomもそこそこ楽しめる、そのために設定された速度が1.5Mbpsであるわけです。
しかしahamoの低速モードは480p動画のストリーミングさえロードが挟まることがあり、快適性を取ると360pまで落とす必要があるため、無理なく楽しめるコンテンツの範囲はマイそく ライトとあまり差がありません。
マイネオと比べてしまうと、2,970円/月の回線としてはちょっと厳しいのではないかと感じます。
また、裏でダウンロード等通信が行われている時のネットの安定性が、900kbpsと1.5Mbpsでは全く違います。
もともと1.5Mbpsでも「ながらネット」は厳しいのですが、ahamoの低速モードではサーバーが停止しているのかと思うほど固まることもしばしば……。
テザリングで複数端末がつないでいる状態だと、ahamoの低速モードでは全く使い物になりません。
また、前述したとおりahamoは手動で低速モードに切り替えて高速データ容量を温存するということができません。
早々に容量を使い切ってしまうと、後はahamo大盛り等で追加するか低速モードで月末まで我慢するかしかないので、低速モードの使用感が良くないのは重大な問題です。
ahamoとマイネオの使い分けは?
ahamoは大盛りオプション無しの基本料金でも2,970円/月であり、同容量のマイピタ20GB(2,178円)との差額は792円もありますので、この額を正当化するだけのアドバンテージがほしいところです。
ahamoを選ぶメリットがある使い方は以下のとおりです。
毎月のデータ使用量が20GBを若干下回る程度で、かつできるだけ高速な回線がほしい
ahamoは高速データ容量がある限りは回線品質はドコモと同等で最高クラスですから、基本容量の20GBをちょうど使い切る程度の使用量であれば、ahamoのメリットを最大限享受できます。
ただし前述の通りマイネオとの差額は792円もありますしマイネオの高速通信も十分に高速ですので、その差額を払ってでも回線品質にこだわりたい人に限られます。
大盛りオプション前提でテザリングしまくりの高品質回線がほしい
こっちがメインになるのではないでしょうか。
パソコンを使うためのテザリング回線ならばできるだけ速度が欲しいですからahamoの速度は大きなメリットになりますし、モバイル回線としては高めでも固定回線に比べれば十分安いです。
ahamoの大盛りオプションで100GBも確保できれば、容量的にも不満は出ないでしょう。
ただし、マイネオもパケ増しの登場により、大容量帯で非常にコスパの高い運用が可能になりました。
またマイネオ+パケ増しなら20GB単位で料金と容量を調節できるので、コスパではマイネオに分があります。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
一方で、20GB以上使うけれども超過した分は低速モードで我慢、といった使い方には向いていません。
今回の実験の通りahamoの低速モードは実測で常に900kbps程度しか出ず、実際の使用感としても微妙です。
また任意で低速モードに入れないため、データ容量を使いたいときのためにとっておくという運用もできません。
このような使い方をしたい場合は、明らかにマイネオのほうが適していると言えます。
マイピタ20GBはやっぱり便利!
当サイトはマイネオ推しなのでマイネオに有利なことだけを書いているのだと思われるかもしれませんが、今回は純粋にahamoを固定回線の代替として検討し、契約して試した感想になります。
マイネオでパケ増しが始まらなければahamo+大盛りで固定回線とモバイルをまとめてもいいかなと思っていましたが、パケ増しが始まったためにとりあえず大盛りなしで運用したところ、マイピタ20GBの便利さを痛感した次第です。
マイネオのパケット放題・マイそく スタンダードの1.5Mbpsという設定は非常に絶妙で、また平日昼を除き基本的に常に上限いっぱいまで速度が出るため、普段遣いに困ることはめったにありません。
あまりに困らないので容量が余っているのに節約モードをONにしっぱなしという方も多いのではないでしょうか。
基本容量が20GBもあり節約モード時の速度も必要十分、そして料金も安いとあって、月間の通信量が20GB前後のほとんどの方にとってマイピタ20GBは最適な選択肢になり得ます。
コスパ良好で品質もよく利便性も高いマイネオの各プラン、どれも非常におすすめです。マイネオを使ったことがない方はぜひ一度お試しください。
エントリーコードを入手してお得に使おう
当サイトではマイネオの契約事務手数料3,300円が無料となるエントリーコードを配布しています。
マイピタとマイそく(スーパーライトは除く)のどちらでも利用可能です。
賢く節約してまいりましょう。
そんなお得にマイネオを始められるのでぜひ使ってみて下さい。